僕は、小さい頃から自分を表現することが苦手だ。
一方で、人の「深い部分」の話を聞くのが好きだ。
「深い部分」とは、その人の好きなものだったり、悩みだったり、人生に対する考え方だったり、未完成な部分だったり。そんなところのことを指していると思う。
どちらかといえば”聞き上手”な僕でも、自分を表現できる瞬間があった。
それが、肩もみをしている間だ。
肩もみをしている間、その人と心が通じ合う感じがたまらなく好きだ。
マッサージを将来の道にしよう。って思ったのは高2の時だった。
”健康”というテーマに明確に興味を持ちだしたのは、その時からだった。
周りを見渡したら、不健康そうな人が多かった。
肩こりが治らない人。
腰痛に悩まされる親。
うつ病になった親戚。
夜になると眠れない友達。
ごはんを食べられなくなった友達。
”聞き上手”な僕は、そういう人の話をよく聞いた。
みんな病院に通院していた。
なのになんで、こんなに不健康そうな人が多いんだろう?
それらは”病気”なのかどうかわからないけれど、不健康そうに見えた。
不健康で、不幸そうに見えた。
「僕になにかできないか」助けたいと心から思った。
大好きな人ばかりだったから。
けど、僕には「肩もみ」か「話を聞く」くらいしかできなかった。
なんで健康でいられないんだろう?
「癒し」って何なんだろう?
「健康」って何なんだろう?
もっと他に、僕にできることはなんだろう・・・?
進路に迷っていた僕は、たまたまその時通っていた整体院に話を聞くことにした。
つづく。