玉水分祭とは何か
春日神社の神職になったのが1年前の6月。
ONEBEANSチームに加入したのも同じく6月。
直会市の初回開催もその6月。
当時6カ月だった娘が今や1歳半に。
「まだ1年か…」という想いと
「もう1年か…」という想い。
兎にも角にも、綴る筆が間に合わないほどに充実していた怒涛の1年間。
1年前に見えていた景色とは、また全く違うところに来れた。
その一つが、「玉水分祭」という、新しい祭りを斎行したこと。
賛も否も含め、様々な見方がある試みなんだろうと思うのですが、
これを実現できたのは、役員さん含め町の方々の度量であり、直会座や関係する皆さんの熱量の高さであり、サポートしてくれた巫女さんや家族のお陰であり、神様ご先祖様があたたかく見守ってくださったお陰様であります。
そしてこれだけは確信しているのは、まちづくりとして確実に新しい、地域の根幹を揺さぶるような一撃を打てた、ということ。
「打てた」というのは、ちょっと違うかもしれません。
この祭りは境内社の例祭であり、毎年行います。山に降り注ぐ雨水のように、じんわりじんわり地中深くに浸透し、透明な恵みとなって四方から湧き出してくる。そんな広がりを持つ取り組みとなった、というイメージを持っています。
黒豆に、丹波篠山のアイデンティティを求めるのはいよいよ危険な感じがしてきました。地球環境の変化やテクノロジーの進化の速度は年々増して、人間の都合は待ってくれなさそうです。
黒豆は確かに美味しい。丹波篠山の風土に合っている。しかしそれはあくまで成果であり、その根幹は何なのか?
その問いへの答えの一つが、「古篠山湖」ではないかと想い至り、この祭りへと繋がっていきました。古代丹波篠山は広大な湖だった。だからこそ、標高が高い比較的なだらかな盆地にも関わらず、地下水脈が豊富で三つの大きな川の源流域であり、また土は粘土質であり、そしてその地下水が源となって、丹波霧が発生するのではないか。
それら一つひとつバラバラに見えていた美味しい黒豆を育てる条件が、全て一つのストーリーで結べたのではないか。そんな自負を持っています。
この、人間にはどうしようもないほど壮大な自然環境や時間感覚に想いを馳せ、その恵みに感謝を捧げ、災いを鎮めること…
篠山川で亡くなってしまった方がいることは、本当に無念でなりません。時間は空いてしまっているのですが、改めて、御冥福をお祈りいたします。
このニュースは、祭りをする直前であったがため、当日まで気持ちをどう持っていけばよいのか、直前の直前まで非常に迷いました。迷いましたが、覚悟を決めて、水の恵みに感謝する祭りを行いました。
自然は、人間社会に恵みをもたらしてくれ、逆に言えば自然が生み出す恵みが無ければ人間は生きていけません。
しかし、いとも簡単に(そう思えるほどに圧倒的な力をもって)人命を奪う災いをもたらす存在でもあります。それを決して忘れてはいけない。
そんな自然とどう向き合うか。その生命の本質に迫る問いを、人間社会へ投げかけること。投げかけ続けること。そこに神道の真髄があるのだと思います。
神職となって1年経過しました。
いつまでもビギナーとは言っていられません。
初心を忘れず貪欲に学び続ける姿勢はそのままに。
しかし、求められる質は確実に上がっていくだろうことを、
半ば慄きつつも、覚悟をもって、歩んでいこうと思います。
とはいえ、1人では本当に何もできません。
「丹波篠山の心を1つにする。」
「千年続く春日神社から、丹波篠山を千年後の未来へ。」
こんな壮大な夢に向かう道半ば。
引き続き皆様に応援していただけましたら幸いです。