「いや、まぁ、よくわからないけど。お前のことは信じてるよ。」
冬の匂い。
思いっきり深呼吸すると、鼻の奥がツンとしまる。この感じ。
この感じがすると、僕は決まって北海道を思い出す。
道端に背丈くらい積み上げられた雪山。
お店の自動ドアの前だけつるつるに固まって。
地元の人か観光客かは、歩き方を見るだけでわかった。
「僕はここで生まれたんだ。」
大学の長期休暇が来る度に、僕は自分のルーツを探るかのように、
3歳で離れた自分の生まれ故郷を訪れた。
大通り公園。藻岩山。真駒内。曙団地。
なぜ北海道大学に進学することを思いつかなかったんだろう。
自分で自由に進路を選べるタイミング。
あれは、大学をどこにするか相談した時のセリフだったような気がする。
「まぁ、よくわからないけど、お前のことは信じてるよ。」
家族であることと、家族になることは別だと思う。
うちの家族には、独特の雰囲気がある。
我が家に流れる空気。
安心感
寛容性(理解できないでも信じることができる親)
好奇心
自己決定の尊重
「日本ではどこか、『制度が勝手に運んでくれる』という意識が刷り込まれている。」
「日本ではどこか、『制度が勝手に運んでくれる』という意識が刷り込まれている。」
この言葉は、お世話になっている牧師さんの言葉。
家族である、ということが、心のホームを作るわけじゃない。
家族である、ということが、心のホームを作るわけじゃない。
”家族になる努力”を怠らないからこそ、家族が集まった先に安心がある。
状況が変化しても、理解し難い考えが他のメンバーから浮かんでも。
「まぁ、よくわからないけど、お前のことは信じてるよ。」
こう言って対応しようと努力してくれる親の元に育った僕は、最高の幸せ者だと思う。