ファミリーヘルスの高め方

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引き算の教育法(2/2)

先日は、親御さんから高校生の娘さんの進路相談があり、その中で僕の高校生のエピソードを話しました。
僕が高校2年生の時「癒しに関わる人になりたい」という夢を描き、接骨院の院長に話を聞きにいった時
「大学なんて行く意味ないよ。」という発言に衝撃を受け、大きく心を揺さぶられたエピソードをお伝えしました。
 
さて、今週はその続きからです。
 
塾長「もし大学に行くなら、社会に出た場合の4年間の価値に勝る時間にしなければいけない。そんな風に考えるようになったんです。」
親御さん「なるほど…」
塾「実は僕も、親からは、ほとんど進路について干渉されたことはありませんでした。そして僕は、大学を卒業し、起業家になっている今の人生にとても満足しています。だからこそ、お母さんの『信じて任せる』という関わり方は応援したいんです。」
親「ありがとうございます。でも、これからどう関わっていったらいいと思いますか?」
塾「そうですね…現代は、情報にあふれ、物質もあふれている時代で、実は”与えること”は簡単な時代なんです。つまり、親が進路について情報を調べてアドバイスしたり、遊び道具を買い与えたりすることは、それらを”与えない”よりも、実は簡単なことなんです。時代に流されていれば、自ずとそうなってしまう世の中だということですね。」
親「なるほど…」
塾「だからこそ、”与えない”ことを選択することには、哲学が必要になります。哲学とは、『どれだけ最悪と最高を想定できるか』ということです。お母さんにとって、最高の進路ってなんですか?」
親「親としては、どの大学に行ってほしいというのは無くて、本人が納得した大学に進んでほしいと思っています。」
塾「いいですね。具体的な大学名が挙がるなら、親御さんももっとコミットすべきだったかもしれませんが…
じゃあ、最悪は、どこまで想定しますか?例えば、大学受験は、本当にすべての受験に失敗する可能性があります。その場合、浪人を許しますか?それとも、専門学校や就職を視野に入れますか?」
親「そこまでは、ちょっと考えられていなかったです…普通の塾の先生だったら、こんなこと教えてくれないですよね…ちょっとびっくりしましたけど、でも親としてどういう覚悟を持つべきなのかは分かった気がします。」
塾「ありがとうございます。僕は『100年とも言われる長い人生を豊かに生きること』が目的。受験はその手段の一つに過ぎないという考え方で、普段から子どもと向き合っています。だから僕は、”与えない教育”をするんです。
ちょっと厳しい例えになるかもしれませんが、”与える教育”は、農業で言えば化成肥料をやって、農薬で害虫を殺してやって育てる方法。逆に”与えない教育”は肥料や農薬など即効性のあるものを与える代わりに、時間のかかる土づくりに取り組むようなものではないかな、と考えています。もちろん、僕はどちらも大切だと考えていますが、要はバランスの問題。
与えすぎると、自分で考えて判断する力は無くなってしまう。親が決めたような進路では、自分の足で歩む人生は遠のいてしまうかもしれない、ということですね。逆に与えないで、子どものことを信じて、判断を任せる機会を増やせば、厳しい環境で植物が力強く根を張るように、少々のことではへこたれない人生になると思います。どちらかと言うと、僕は後者のように長い人生を自分の力で歩む力を身につけて学生時代を終えてほしいと考えています。だから、桃栗三年柿八年と言うように、時間はかかるけども、寺子屋では”子どもたちの土づくり”に取り組んでいるんです。」
 
(面談の最後に「瀬戸さんのファンになりました。」と言っていただき、帰られた後に飛び跳ねて喜んでいたことはここだけの秘密。笑)
 
さて、いかがでしたでしょうか。
寺子屋では、親御さんと日々面談を重ね、寺子屋という自由な場を、どんなオーダーメイドの時間にするか、
自由に臨機応変に取り組んでいます。
また、「最近面談してないよー。」という方、いらっしゃいましたら、申し訳ありませんが、ぜひ講師にお声がけください。いつでも時間をこじ開けて面談させていただきます。
ぜひ、寺子屋を積極的に、自由に、伸びやかに。使っていただけたら、塾長としても、こんなに嬉しいことはありません。
 
「引き算の教育法」完。